[蔵の歴史]

タンクの中で静かに眠る
焼酎だけが残された。


公平はまた、人一倍正義感が強い男でもあった。

「俺がやらねば誰がやる」。

郷土の振興を願い、県会議員としても活動。
独創的な施策を次々に提案した。が、あまりに先駆的な内容に時代が追いつかず、
周囲の理解はなかなか得られなかったようだ。
いかにも彼らしい話であり、私には懐かしい思い出である。

そして、県議を4期務め、さらに参議院選挙にも出馬。
しかし、これがいけなかった。

落選によって莫大な借金を背負ってしまったのだ。
すべての財産が差し押さえられた。
原酒の入った数百本ものタンクは、もはや外へ出ることが許されなくなり、
やむを得ず長い眠りにつくこととなった。

けれども、それが後に思いもよらぬ贈り物になろうとは.....。