[こだわりの焼酎造り]

いい焼酎は、いそがない。
自然がじっくりうまさを醸すまで。

雪国の焼酎造りには、教科書はありません。季節があざやかに変化し、自然がどこよりも美しい半島「能登」。その気候風土につちかった能登杜氏仕込みの製法、蔵人の確かな技術をいかし、私たちは雪国能登ならではの焼酎のうまさにこだわって造り続けています。

[素材厳選]

本格焼酎は、まず素材にこだわる。

素材のもち味が延命にあらわれる酒、本格焼酎に欠かせないのが「麦・水・麹」という3つの素材。それぞれが良質であり、全体のバランスも大切になります。

麦【むぎ】

原料は100%、良質な国産大麦を使用。大粒でよりうまみの高い大麦を産地より直接仕入れ、雑味のもとになる成分の多い表皮部分の役3割〜4割を取り除いて、さらに磨き上げたものを焼酎造りにいかします。

水【みず】

能登半島国定公園の深い自然の源となる山々。その黒峰連峯よりの伏流水は、飲んでおいしく、酒にしてうまし。当蔵では、本格焼酎にほどこす仕込み水はもちろんのこと、全行程にその清らかな能登の恵みの水を使います。

麹【こうじ】

本格焼酎に欠かせない麹(種麹菌)には主に白麹・黒麹・黄麹の3種があり、味の個性を形づくる素材のひとつとなります。当蔵で用いる白麹(河内菌白麹)は、原料の風味をまろやかにし、やさしい口あたりに仕上がるのが特徴で、むぎの魅力がより引き立つ麹です。

[醸造の技]

味は正直だから、手は抜けない。

能登杜氏発症の地といわれる奥能登・珠州。その伝承の技をいかし、添加物には一切たよらず醸造する、本当の麦焼酎の味にこだわっています。

洗麦・浸漬【せんむぎ・しんせき】

仕込みは一年の中で比較的気候が穏やかで、焼酎造りに最も適した春と秋の限られた時間を見極めて行います。まず精麦機にかけた大麦を洗い、一定時間水に浸して、蒸しの準備をします。この時の吸水具合が、その後の造りに大きく影響するため、気の抜けない重要な作業です。

蒸し[むし]

適量の吸水をさせた大麦を、熱い蒸気で蒸します。硬すぎず柔らかすぎず絶妙なバランスが必要で、その日の天候や気温に応じて、蒸し加減は微妙に調整します。そうして芯までふっくらと蒸しあがった大麦は、次の麹造りに適した温度まで冷まして落ち着かせます。

製麹【せいぎく】

燕麦全体に種麹菌をまいて混ぜ合わせ、麹造りをします。32℃〜37℃の間の一定温度で、気温の変化にきめ細かく対応しながら管理すること約40時間。やがて麦の一粒一粒が白っぽくなり、麹菌がしっかりと繁殖すると、「大麦麹」が出来上がります。

一次仕込【いちじしこみ】

大麦麹を、水・焼酎酵母とともに仕込み、この後の二次仕込みで発酵に必要な酵母を増やします。この酵母は温度変化に敏感で、もろみの微かな表情の変化を見極める蔵人の腕にかかっています。25℃〜30℃の間の一低温度で管理し、約1週間ほどで、酵母を多量に含んだ酒母の「一次もろみ」ができます。

二次仕込【にじしこみ】

一次もろみを、水・主原料の燕麦とともに仕込ます。仕込みタンクの中では、大麦の澱粉を麹が糖分に変え、その糖分を酵母がアルコールに変えていく複雑な発酵が行われ、ここでいかに多くのアルコールを出すかが腕の見せどころ。慎重に擢入れをし、25℃〜30℃の間の一定温度で管理。そうして約8日〜20日間で「二次もろみ」ができ上がります。

[蒸留・熟成]

いそがず、あわてず、
自然と対話を続ける。

焼酎と清酒の決定的なちがい。それは蒸留と熟成を行うことです。蔵のノウハウが試される重要なプロセスのひとつで、本当にいい「造り」の焼酎なら、10年、20年、それ以上でも長期熟成できます。

蒸留[じょうりゅう]

蒸留は、発酵を終えたもろみに熱を加え、蒸発した気体を冷却・液化し、焼酎の「原酒」を造り出す工程です。
当蔵では、単式真空蒸留機を使い、減圧蒸留という方法で行います。もろみを低温で沸騰させることで、沸点の高い微量成分は抽出されず、雑味が少ない分、淡麗かつソフトな味わいに仕上がるのが特徴です。

濾過[ろか]

蒸留後の原酒には、油性成分などが残ります。これらをていねいに取り除く濾過を行い、よりクリアな原酒を抽出します。濾過機で少しずつ時間をかけて抽出し、濾過後の原酒はしばらくおいて味や成分が安定するのを待ちます。

貯蔵・熟成【ちょぞう・じゅくせい】

生まれたての原酒は、刺激的でまだ荒々しい状態、ホーロータンクや樫樽で貯蔵し、能登の気候風土の中でじっくりと自然のままに熟成させることで、風味の欠点が除かれ、まろやかな自然の甘み・コク・香りなどが加わります。貯蔵方法や熟成期間は理想とする酒質に応じて変えます。

調合・瓶詰【ぶれんど・びんづめ】

一定期間寝かせた原酒を、理想の酒質に仕上げる最終工程です。原酒をブレンドしたり、割り水でアルコール度数を調整し、納得のいくまで理想の酒質を追求します。そして最終検査をし、瓶詰めをして、ようやく「本格焼酎」としてお客様のもとへお届けできるようになる時、長い長い歳月をかけた焼酎造りのすべてが、歓びに変わる瞬間です。